新築の照明で「調光したい」と「スマホや声で操作したい」の両方を叶えたい。そう思って調べ始めると、たいてい壁にぶつかります。
じつは私も、最初は「この2つは両立できない」と思い込んでいました。結論から言うと、それは間違いでした。両立できます。ただし、やり方を間違えると本当にできなくなります。
私は電気工事士の資格を持っていて、新築のわが家の電気配線を自分で設計しました。今まさに照明のスイッチを決めている最中で、この記事はその検討過程の記録です。実際に選んだ品番と金額、そして施工で確実にハマるポイントまで、全部書きます。
結論:両立できる。ただし「電球」ではなく「スイッチ」でやる

照明をスマホや声で操作できるようにする方法は、大きく2つあります。
- 電球を替える(ネットにつながるスマート電球にする)
- スイッチを替える(壁のスイッチ自体をスマート対応にする)
このうち電球のほうを選ぶと、調光と両立できません。スマート電球の多くは調光器(明るさを変える壁スイッチ)に対応しておらず、つなぐとちらついたり、不具合の原因になったりします。
私が「両立できない」と思い込んでいたのは、この電球側しか見ていなかったからです。答えはスイッチ側にありました。
わが家が選んだのは、パナソニックの「リンクプラス」
パナソニックのアドバンスシリーズには「リンクプラス」という系統があります。これはスイッチ自体がBluetoothでスマホとつながるもので、調光スイッチのラインアップもあります。
公式サイトによると、できることはこの4つです。
- 個別操作:照明を1つずつ操作
- グループ制御:まとめて一括操作
- シーン操作:点灯パターンをワンタッチで切り替え
- タイマー操作:時間で自動オンオフ
しかも一般的な住宅の配線のまま、スイッチを交換するだけで導入できます(電気工事の言葉では「2線式・片切」配線)。新築のときはもちろん、住みはじめてから替えることもできます。
わが家の構成と金額(実例)

わが家のリビングは、こういう条件でした。
- ダウンライト:キッチン側とリビング側で2つに分けて、それぞれ3箇所から操作+明るさも変えたい(暗くすると自動で暖色になるタイプ)
- 間接照明:リビングの南北にあり、こちらも3箇所から操作したい。明るさ調整はいらず、オンオフだけでいい
これをリンクプラスで組むと、こうなりました。
| 対象 | 品番 | 価格(税抜) |
|---|---|---|
| 調光スイッチ(キッチン側・リビング側)×2 | WTY22473WK | 48,000円 |
| オンオフスイッチ(間接照明)×1 | WTY2201WK | 18,000円 |
| 追加スイッチ・中間用 ×3 | WTA5654 | 12,000円 |
| 追加スイッチ・端用 ×3 | WTA5652 | 10,500円 |
| 合計 | 88,500円 |
通常のアドバンスシリーズで組むと約46,400円なので、差額は約42,100円です。調光する場所だけに絞れば差額はもっと小さくなります。
なおハンドルと取付枠は別売です。本体だけ買っても取り付けられないので、発注時に必ず一緒に手配してください。
型番と組み合わせは、パナソニック公式のリンクプラスのページで見られます。打ち合わせの前に開いておくと、工務店と話が通じやすくなります。
普通のスイッチは1個1,000〜2,000円程度なので、リンクプラスは1個あたり10倍以上です。家じゅうをやると数十万円になるので、スマホやシーンで操作したい照明だけに絞るのが現実的だと思います。
2〜4箇所から操作したいときは、専用の追加スイッチが要る

入口で点けて、奥で消したいなら
階段や広いリビングだと、同じ照明を2箇所・3箇所から操作したくなります。入口で点けて、奥で消す、という使い方です。
リンクプラスはこれに対応していて、メインのスイッチ1つ+追加スイッチで、最大4箇所まで増やせます。この追加スイッチは、電気工事の世界では「子器(こき)」と呼ばれます。工務店や電気屋さんに伝えるときは、この言葉を使うと話が早いです。この記事では分かりやすさを優先して「追加スイッチ」と書きます。
追加スイッチの品番と数(工務店に伝える用)
- 2箇所目:WTA5652(3,500円)
- 3箇所目以降:WTA5654(4,000円)
- 追加できるのは3台まで(メイン+3台=最大4箇所)
ここは数を間違えやすいところです。普通の配線で3箇所から操作する場合、両端に1個ずつ、中間に1個の合計3個のスイッチが要ります。ところがリンクプラスはメインのスイッチが端の1個分を兼ねているので、追加するのは2個で足ります。
つまりWTA5652(端用)はどの回路でも必ず1個だけ。WTA5654(中間用)は「操作したい箇所の数マイナス2個」。3箇所なら1個、4箇所なら2個です。電気に詳しい人ほど、普通の配線の感覚で多めに見積もってしまいます。
ここで重要な注意があります。公式に「2ヵ所、3ヵ所操作する場合は電子スイッチ(子器)でしか接続できません」と明記されています。ホームセンターで売っている普通の「複数箇所用スイッチ」は使えません。必ずこの専用品が要ります。
【最重要】この追加スイッチは、普通のスイッチとは別物です
施工説明書の配線図を見て気づいたことがあります。この追加スイッチ、中に制御回路と白いランプが入っています。ただの機械接点ではありません。
そのため、公式の施工説明書にはこう書かれています。
「必ず、①-①、③-③間を接続してください。誤った接続をすると正常に動作しません」
この①と③は、スイッチ本体に印字されている端子(電線を差し込む穴)の番号です。スイッチどうしをつなぐ2本の線は①は①へ、③は③へつなぎます。

ふつうの複数箇所用スイッチは中身がただの金属接点なので、つなぐ線は左右どちらでも動きます。でもこの追加スイッチは中に電子回路が入っているため、つなぐ向きが決まっています。
いつもの感覚で繋ぐと動きません。しかも動かないと製品の初期不良だと勘違いしやすいのが厄介です。ここは工事をお願いする人に、必ず伝えておくべきポイントです。
なお電線の本数と引き回し自体は、普通の複数箇所スイッチとまったく同じです。配線をやり直す必要はありません。変わるのは「どの端子にどう繋ぐか」だけだと考えてください。
あわせて、施工条件も決まっています。
- 電線は決まった太さ・種類のものしか使えない(φ1.6/φ2.0の銅単線専用)
- スイッチどうしをつなぐ配線の合計が30m以下であること。照明までの配線や、分電盤からの配線は含みません。あくまでスイッチ同士をつなぐ線だけです
- 被覆をむくのは12mm。奥まで差し込む(発熱のおそれあり)
品番選びの落とし穴:タッチ式は3箇所操作ができない
リンクプラスの調光スイッチには、つまみを回すロータリー式と、指で触れるタッチ式があります。見た目はタッチ式のほうがすっきりしています。
しかし、タッチ式の一部のモデル(WTY24173W/H/F)には、公式にこう書かれています。
「3路・4路配線はできません。子器は使用できません」
つまりこのタッチ式を選ぶと、複数箇所からの操作ができなくなります。わが家は3箇所からの操作が必須だったので、つまみを回すロータリー式(WTY22473)一択でした。見た目だけで選ぶと、あとで操作場所を増やせません。
声で操作したいなら、別途38,500円かかる
ここも正直に書きます。リンクプラス単体でできるのは家の中でスマホから操作することまでです。
外出先からの操作と、音声操作には「無線アダプタ」(WTY2001・38,500円)が別途必要です。ルーターの横に置いてLANケーブルでつなぐ、単行本より小さい箱です。これを足すと登録できるスイッチ数も20回路から50回路に増えます。
決して安くないので、まずスイッチだけ導入して、必要になってから足すのが良いと思います。後付けできます。
なおシーンリモコン(WTY2530)は電池式で配線不要、壁に貼るだけです。調光の明るさレベルまで記憶して5シーンまで保存できるので、こちらのほうが費用対効果は高いと感じています。
調光にこだわった理由は、プロジェクターと夜の暖色
理由は2つあります。
1つ目はプロジェクターです。映像を見るときに部屋を暗くしたい。調光できないと、消すか点けるかの二択になってしまいます。
2つ目は夜の色です。夜は暖色にしたいと考えていました。これは感覚で決めたことですが、調べたら根拠がありました。パナソニックの検証では色温度が低い(暖色)ほど、眠りを誘うメラトニンが分泌されやすいとされています。千葉大学の研究でも、3,000K程度の暖色で「眠さ」の評価が最も高いという結果が出ています。逆に青白い光はメラトニンの分泌を抑えます。
寝る前に暖色にするのは、気分の問題ではなく理にかなっているということです。
あわせて、LDKはキッチン側とリビング側でスイッチを分けました。同じ空間に見えても、使う時間帯も欲しい明るさも違うからです。
まとめ:新築で決めておくべきこと
- 調光とスマート化は両立できる。ただし電球ではなくスイッチ側でやる
- 複数箇所から操作するなら専用の追加スイッチ(子器)が必須。普通のスイッチでは代用できない
- その追加スイッチはつなぐ向きが決まっている。いつもの感覚で繋ぐと動かない
- タッチ式には複数箇所の操作ができないものがある。見た目だけで選ばない
- 音声・外出先操作は無線アダプタ38,500円が別途。後付け可
スイッチは配線が終わってからでも交換できますが、先に決めておけば買い直しがありません。わが家はこれからこの構成で取り付けます。実際に使ってみた感想は、あらためて書きます。
新築の電気まわりでは、コンセントの位置と数でも同じように後悔が起きます。そちらは別記事にまとめました。
→ 新築コンセントで後悔しないための位置と数|配線設計した施主の実例
※本記事の仕様・価格はパナソニック公式サイトおよび施工説明書(2026年7月時点)で確認したものです。価格は希望小売価格(税抜)です。実際の適合可否は、ご自宅の配線図と施工説明書で必ずご確認ください。


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