ポータブル電源で冷蔵庫は停電中に何時間もつ?1,000Whで10時間の実例と計算

ポータブル電源で冷蔵庫は停電中に何時間もつか。1,000Whで10時間前後という実測と計算の目安 停電・防災
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停電したとき、ポータブル電源で冷蔵庫は動くのか。動くなら何時間もつのか。買う前に知りたいのは、動くかと何時間かの2点です。

「台風の停電で冷蔵庫の中身がダメになりそうで不安」。「ポータブル電源は持っているけど、冷蔵庫に使えるか分からない」。「1,000Whで足りるのか、2,000Whが要るのか決められない」。当てはまるものはありませんか。

結論は、家庭用冷蔵庫なら1,000Whクラスで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間です。根拠は、家庭用冷蔵庫を実際にポータブル電源で動かした実測7件です。わが家はJackery 1500を停電の備えに置いています。冷蔵庫をつないで測ったことはないので、他の人の実測を集めて計算で確かめました。

本記事では、電気工事士の目で実測を読み解き、必要な容量と出力の決め方をまとめます。停電対策の全体像は「停電対策は電気から決める」に書きました。

  1. 結論:家庭用冷蔵庫は1,000Whクラスで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間動く
    1. 実測7件:容量・冷蔵庫・動いた時間
    2. Jackery 1500の前の型番(PTB151)は、455Lの冷蔵庫で10時間
    3. 300〜500Whの電源は、2時間台で落ちる
  2. カタログの年間消費電力量で計算すると外れる。実測は1.5〜4倍
    1. 年間消費電力量÷365÷24が「1時間あたり」。263kWhなら30Wh
    2. 実測は1時間あたり68〜126Wh。理由はドアの開閉・古い機種・夏の室温
    3. 計算式は「容量×0.8÷平均W」。平均Wは80〜130で入れる
  3. 停電の多くは短い。中身は2〜3時間もつので、電源が要るのは3時間を超えてから
    1. ドアを開けなければ、中身は2〜3時間もつ
    2. 日本の停電は1軒あたり年0.15回・36分。台風では12日近くかかった例もある
    3. ポータブル電源が要るのは、半日以上の停電と留守中の停電
  4. 動かす条件は3つ:定格出力・起動電力・正弦波
    1. 冷蔵庫の消費電力は、背面のシールと年間消費電力量で調べる
    2. 起動時は通常の2〜3倍。定格出力に余裕がある機種を選ぶ
    3. 正弦波でない電源は、冷蔵庫に使わない
  5. 停電の前からつないでおく?UPS・パススルー・常時接続の考え方
    1. UPSは停電の瞬間に切り替わる。留守中の停電に効く
    2. パススルーは「充電しながら出力」。切り替えの速さを約束する機能ではない
    3. わが家の1500:普段はコンセントで充電。停電したら手でつなぐしかない
  6. 長く動かすコツは3つ:ドアを開けない・冷凍室を詰める・間欠運転
    1. ドアを開けないだけで、消費は約3割減る
    2. 冷凍室はすき間なく詰め、保冷剤と冷凍食品を一番上の棚へ
    3. 「4時間おきに1時間だけ動かす」なら、1,000Whでも1日もつ
  7. いらない家・足りない家
    1. 数時間で復旧する地域で留守が少ないなら、冷蔵庫のためだけには要らない
    2. 大型冷蔵庫で丸1日以上なら、2,000Wh以上と充電手段が要る
  8. ポータブル電源と冷蔵庫の停電対策でよくある質問
    1. Jackery 1000クラスでも家庭用冷蔵庫は動く。10時間前後が目安
    2. 冷蔵庫の消費電力は年間消費電力量÷365÷24で出るが、実測は1.5〜4倍で見る
    3. 停電になったら、まずドアを開けない。3時間を超えそうなら電源をつなぐ
    4. 冷蔵庫と一緒にスマホやWi-Fiも使える
  9. まとめ:1,000Whで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間。決め手は停電の長さ

結論:家庭用冷蔵庫は1,000Whクラスで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間動く

家庭用冷蔵庫をポータブル電源で動かした実測7件。容量と冷蔵庫の大きさごとに動いた時間を棒グラフで比較
1,000Whクラスで10〜15時間。2,000Whなら15〜24時間です

家庭用冷蔵庫をポータブル電源で動かした実測を、個人ブログ・note・専門家記事から7件集めました。結果は容量でほぼ決まります。1,000Whクラスは10〜15時間、2,000Whは15〜24時間でした。300〜500Whは2時間台で落ちています。

実測7件:容量・冷蔵庫・動いた時間

1,024WhのDELTA 2は、345Lの古い冷蔵庫で10時間7分でした(Yahoo!ニュースの検証記事)。1,056WhのAnker C1000は、142Lの2ドアで15時間5分です(防災アドバイザー高荷氏の検証)。

2,042WhのJackery 2000 Newは2件あります。465Lの2012年製で15時間以上(るーしぃブログ)。485Lの日立で24時間6分です(py10ry)。前者は夕飯の支度で8回ドアを開けています。後者は夜間の開閉がほぼありませんでした。同じ電源でも、使い方で9時間の差が出ます。

Jackery 1500の前の型番(PTB151)は、455Lの冷蔵庫で10時間

1500の前の型番(PTB151・1,488Wh)で、455Lの三菱製(2016年)を動かした人がいます。残量99%から始めて、10時間後に14%でした(potaden.net)。出力の表示は0Wから200W超まで動いています。冷蔵庫は冷やしては止まるので、電気を使わない時間があるためです。

わが家の1500(型番PTB152)は容量1,534Wh・定格出力1,800Wです。前の型番(PTB151)の実測と、後で示す計算を合わせると、10時間前後が目安になります。わが家では冷蔵庫をつないで測ったことはありません。

300〜500Whの電源は、2時間台で落ちる

288WhのEcoFlow RIVERは、355Lの2010年製で2時間24分でした(moognyk・はてなブログ)。512Whの電源を真夏の停電で冷蔵庫につないだ人は、深夜1時から朝6時前に残量ゼロでした。後日の実測から、もったのは2時間半ほどです(note・ひろと氏)。冷蔵庫が目的なら、500Wh以下は候補から外します。

カタログの年間消費電力量で計算すると外れる。実測は1.5〜4倍

冷蔵庫の年間消費電力量から計算した1時間あたりの消費と、ポータブル電源での実測の差。4件とも実測が1.5〜4倍
カタログ値で計算した時間の3分の2から4分の1しかもちません

メーカーの記事には「年間消費電力量から1時間あたりを出す」計算が載っています。実測と突き合わせると、1.5〜4倍ずれていました。買う容量を決める前に、ずれの理由を知っておきます。

年間消費電力量÷365÷24が「1時間あたり」。263kWhなら30Wh

冷蔵庫の背面や扉の内側のシールに、年間消費電力量が書いてあります。455Lの三菱製は263kWh/年でした。263,000Wh÷365日÷24時間で、1時間あたり約30Whです。1,488Whの電源なら、計算上は約40時間もつことになります。

実測は1時間あたり68〜126Wh。理由はドアの開閉・古い機種・夏の室温

ところが実測は10時間でした。1,488Whの85%を10時間で使ったので、1時間あたり約126Whです。計算の約4倍です。465Lの2012年製は、記事の筆者自身が「計算は30Wh、実測は約100Wh」と書いています。485Lの日立は約68Wh、345Lの古い機種は約81Whでした。

理由は3つ考えられます。ドアを開けるたびに庫内が温まる。古い機種はパッキンやコンプレッサーが弱っている。夏は室温が高く、冷やす時間が長い。真夏の停電で512Whが2時間半で落ちた例では、連続運転時の実測が150W前後でした(note・ひろと氏)。

計算式は「容量×0.8÷平均W」。平均Wは80〜130で入れる

使える時間は、容量(Wh)×0.8÷平均消費電力(W)で出ます。0.8は電気を取り出すときのロスです(Jackery公式)。式は各社同じですが、平均Wにカタログ値を入れると外れます。実測に余裕を足した80〜130Wを入れます。

  • 1,000Wh:1,000×0.8÷130=約6時間 〜 ÷80=10時間
  • 1,500Wh:約9時間 〜 15時間
  • 2,000Wh:約12時間 〜 20時間

実測7件のうち4件は、計算の幅に収まりました。真夏の512Whは下に外れています。小さい冷蔵庫の1,056Whと、夜間の開閉が少なかった2,042Whは上に外れました。

停電の多くは短い。中身は2〜3時間もつので、電源が要るのは3時間を超えてから

停電の長さで冷蔵庫の電源を決める判断軸。3時間まではドアを開けない、半日までは1,000Wh、2,000Whなら15〜24時間、数日は充電手段が必要
3時間までは電源なしで乗り切れます

容量の前に、停電がどのくらい続くかを見ます。短い停電なら、ポータブル電源を使う前に復旧します。

ドアを開けなければ、中身は2〜3時間もつ

関西電力の解説では、十分に冷えた冷蔵庫はドアを開けなければ2〜3時間冷たさが保たれます(かんでんWITH YOU)。パナソニックも一般に2〜3時間と書いています(パナソニック公式)。冷凍室はすき間なく詰めてあれば、季節によって半日から丸1日凍ったままです(同ページ)。JackeryとEcoFlowの公式も、冷蔵室2〜3時間で一致しています。

日本の停電は1軒あたり年0.15回・36分。台風では12日近くかかった例もある

電力広域的運営推進機関の報告書に、1軒あたりの停電の統計があります(電気の質に関する報告書)。2023年度は年0.15回・36分でした。ふだんの停電は、電源なしで乗り切れる長さです。一方で、2019年の台風15号では最大約93万戸が停電しました。99%が復旧するまで約280時間です(資源エネルギー庁)。備えるのは、台風や地震の長い停電です。

ポータブル電源が要るのは、半日以上の停電と留守中の停電

3時間を超えると、庫内の温度が緩やかに上がります(パナソニック)。半日以上の停電が見込まれる地域なら、1,000Wh以上の電源で冷蔵庫を守れます。留守中の停電は誰もつなげないので、後で書くUPS機能の出番です。ポータブル電源自体が必要かどうかは「ポータブル電源は防災に必要か」で分かれ目を書きました。

動かす条件は3つ:定格出力・起動電力・正弦波

容量が足りていても、出力が足りないと冷蔵庫は動きません。電気工事士として、買う前に見る条件を3つに絞ります。

冷蔵庫の消費電力は、背面のシールと年間消費電力量で調べる

シールには「電動機」と「電熱装置」の定格消費電力が書いてあります。455Lの三菱製は電動機76W・電熱装置220Wでした(potaden.net)。電動機は冷やすコンプレッサー、電熱装置は霜取りなどに使うヒーターです。合計296Wを超える定格出力があれば、計算上は動きます。年間消費電力量は、時間の計算に使います。

起動時は通常の2〜3倍。定格出力に余裕がある機種を選ぶ

コンプレッサーが動き出す瞬間は、通常の2〜3倍の電力が要ります(Jackery公式)。BLUETTIは3倍から数倍と書いています(BLUETTI公式)。定格300Wの電源は、容量が足りていても起動時に保護停止した例があります(note・ひろと氏)。定格出力は冷蔵庫の定格消費電力の3倍以上、目安は1,000W以上です。わが家の1500は1,800Wなので余裕があります。

正弦波でない電源は、冷蔵庫に使わない

Jackery公式は、交流100Vの出力が正弦波であることを条件に挙げています。安い電源には波形が崩れたものがあります。モーターで動く冷蔵庫は、波形が崩れると発熱や異音の原因になります。仕様に「純正弦波」「正弦波」とあるかを確認します。

停電の前からつないでおく?UPS・パススルー・常時接続の考え方

「停電の瞬間に自動で切り替わる」機能があれば、留守中でも冷蔵庫は止まりません。名前が似た機能が2つあるので、分けて書きます。

UPSは停電の瞬間に切り替わる。留守中の停電に効く

UPS対応の機種は、コンセント→ポータブル電源→冷蔵庫とつないでおけば、停電の瞬間に電池から給電します。切り替えは通常20ms以内です(BLUETTI公式)。Jackeryの解説では、冷蔵庫は通常20ms程度の時間差なら止まりません(Jackery公式)。UPS対応かどうかは機種ごとに違うので、仕様で確認します。

パススルーは「充電しながら出力」。切り替えの速さを約束する機能ではない

パススルーは、本体を充電しながら家電に給電できる機能です。パススルー対応なら常時接続で運用しやすい、とpecronの解説にあります(pecron公式)。停電時の切り替えを約束するのはUPSのほうです。冷蔵庫を守る目的なら、UPS対応を見ます。つなぎっぱなしでいいかは「ポータブル電源のパススルーとは」にまとめました。

わが家の1500:普段はコンセントで充電。停電したら手でつなぐしかない

わが家のJackery 1500は、普段はコンセントにつないで充電しています。パススルー充電には対応しますが、停電時の自動切替(UPS・EPS)はありません(Jackery公式ヘルプ・1500)。冷蔵庫にはつないでおらず、停電したら手でつなぐ必要があります。停電ではまだ使っていません。

在宅が多い家なら、手でつなぐ運用で足ります。留守中の停電まで守るなら、UPS対応の機種を選びます。

Jackery 1500 NewのUPSは、停電から0.01秒以内に電池へ切り替わります(Jackery公式ヘルプ)。留守中も冷蔵庫を止めたくない家は、「Jackeryの評判」で1500 Newの価格を確かめられます。

長く動かすコツは3つ:ドアを開けない・冷凍室を詰める・間欠運転

ドアを開けないだけで、消費は約3割減る

ドアを開けないと決めた実測では、平均消費が150Wから100W前後に落ちました(note・ひろと氏)。資源エネルギー庁の試算もあります(家庭の省エネ徹底ガイド)。開ける時間を20秒から10秒にすると年6.1kWhの省エネです。開閉回数が2倍になると年10.4kWh増えます。停電中は、開ける回数を決めてから開けます。

冷凍室はすき間なく詰め、保冷剤と冷凍食品を一番上の棚へ

冷凍室は凍った食材が保冷剤の働きをします。すき間なく詰めると長くもちます(パナソニック公式)。停電したら、保冷剤や冷凍食品を冷蔵室の一番上の棚に移します。冷気は下に降りるので、庫内全体が長くもちます(関西電力・パナソニック)。

「4時間おきに1時間だけ動かす」なら、1,000Whでも1日もつ

冷蔵庫を動かし続けず、4時間おきに1時間だけつなぐ運用があります。この運用なら1,000Wh級でも1日もつ、と真夏の停電で失敗した人が書いています(note・ひろと氏)。高荷氏の検証でも「1kWhで半日動かし、あとは開けなければもう半日は冷気が残る」としています。中身が2〜3時間もつ性質を生かす考え方です。

いらない家・足りない家

数時間で復旧する地域で留守が少ないなら、冷蔵庫のためだけには要らない

知恵袋に「3日の停電は10年に1度あるかないか。基本は数時間で復旧する」という回答があります(Yahoo!知恵袋・2024年の投稿)。「中身に3万円の価値があるとは思えないので、長引いたら食べて損切りする」とも書かれています。冷蔵庫だけが目的なら、損切りの考え方も成り立ちます。わが家は停電のリスクが低い地域で、据置型の蓄電池を見送りました。理由は「ポータブル電源は家庭用蓄電池の代わりになる?」に書きました。

大型冷蔵庫で丸1日以上なら、2,000Wh以上と充電手段が要る

500Lの6ドア冷蔵庫を2,000Whの電源で24時間動かした実測では、消費が1,340Whでした。春の実測で「真夏はソーラーで充電しながらでないと無理」と筆者が書いています(bousainikkiブログ)。丸1日以上を想定するなら、2,000Wh以上に加えて充電手段を考えます。機種の比べ方は「JackeryとEcoFlowどっち?」にまとめました。

ポータブル電源と冷蔵庫の停電対策でよくある質問

Jackery 1000クラスでも家庭用冷蔵庫は動く。10時間前後が目安

1,024Whと1,056Whの実測は、10時間7分と15時間5分でした。定格出力が冷蔵庫の定格消費電力の3倍以上あれば動きます。1000 Newは定格1,500Wなので、一般的な家庭用冷蔵庫なら条件を満たします。

冷蔵庫の消費電力は年間消費電力量÷365÷24で出るが、実測は1.5〜4倍で見る

263kWh/年なら1時間あたり約30Whです。実測は68〜126Whでした。容量を決めるときは、余裕を見て80〜130Wで計算します。

停電になったら、まずドアを開けない。3時間を超えそうなら電源をつなぐ

2〜3時間は電源なしでもちます。復旧が長引きそうなら、ポータブル電源につなぎます。停電が7分以内で終わったときは、復旧後に一度プラグを抜いて7分待ってから差し直します(関西電力)。復旧直後のコンプレッサーに負荷がかかるためです。

冷蔵庫と一緒にスマホやWi-Fiも使える

スマホの充電とWi-Fiルーターは、冷蔵庫の80〜130Wに比べれば小さいので、同時に使えます。小さい家電の計算の仕方は「電気毛布のキャンプ用ポータブル電源は500Whで足りる」に書きました。

まとめ:1,000Whで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間。決め手は停電の長さ

停電の長さで冷蔵庫の電源を決める判断軸のまとめ図
電源が要るのは3時間を超えてから。半日なら1,000Wh、2,000Whなら15〜24時間もちます
  • 家庭用冷蔵庫は1,000Whクラスで10〜15時間、2,000Whで15〜24時間動く(実測7件)
  • カタログの年間消費電力量で計算すると1.5〜4倍ずれる。平均80〜130Wで計算する
  • 中身はドアを開けなければ2〜3時間もつ。電源が要るのは3時間を超えてから
  • 条件は定格出力1,000W以上・起動電力の余裕・正弦波の3つ
  • 留守中の停電まで守るならUPS対応。わが家の1500はUPSなしで、停電したら手でつなぐしかない

わが家はJackery 1500を常時充電で置いています。停電対策の全体像は「停電対策は電気から決める」に、必要かどうかの分かれ目は「ポータブル電源は防災に必要か」にあります。

容量が決まったら、次は機種です。冷蔵庫を10時間前後守れる1,000Whクラスは、JackeryとEcoFlowの2社を比べれば決まります。

→ JackeryとEcoFlowどっち?公式スペックで出した結論

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