「停電対策を調べたら、懐中電灯・ラジオ・水のリストばかり出てきた」
「電気が止まったとき、冷蔵庫やスマホをどうすればいいのか分からない」。「蓄電池の見積もりを見て、桁が違うと思った」。「ポータブル電源は本当に要るのか、誰も答えてくれない」。当てはまるものはありませんか。
結論から言います。停電対策は、電気をどう確保するかから決めます。電気を確保する方法は3つ。必要かどうかは、家ごとの3つの分かれ目で決まります。
私は電気工事士です。新築の自宅の電気配線は、全部自分でやりました。停電の備えとして、据置型の蓄電池は見送り、Jackeryのポータブル電源を持っています。キャンプで使っていますが、停電で使ったことはまだありません。
本記事は、停電・防災の記事7本の入口です。電気の確保に絞って、全体像を1ページにまとめました。詳しい計算や機種の比較は、各記事に書いてあります。
読み終えると、自分の家に必要な電源の種類が決まります。いらない家は無駄な出費をせず、必要な家は買い逃しません。
結論:停電対策は「電気をどう確保するか」から決める
停電対策で最初に決めるのは、電気をどう確保するかです。水や食料は買えば済みます。電気だけは、方法によって費用も守れる範囲も桁が変わります。
| 方法 | 工事 | 守れる範囲 | 屋内で使えるか | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| ポータブル電源 | 不要。買ってすぐ使える | つないだ家電だけ | 使える | 数万円〜(1,000Whクラスで約11万〜12万円。Jackery公式ストア・2026年9月) |
| 据置型の蓄電池 | 必要 | 家全体 | 使える | 工事費込みで平均9.2万円/kWh(経済産業省) |
| 発電機 | 不要 | つないだ家電だけ | 使えない(一酸化炭素中毒の危険) | 本体のほかに燃料の保管が要る |
わが家の答え:据置型は見送り、ポータブル電源だけにした
わが家は停電のリスクが低い地域です。だから据置型の蓄電池は見送りました。持っているのはJackeryの1500だけです。据置型との費用の比べ方は「ポータブル電源は家庭用蓄電池の代わりになる?」に書きました。
停電で止まって困るものは5つ。順番も決まっている

停電で困るのは、電気そのものではありません。電気で動いていたものが止まることです。内閣府は、家庭の備えの例を4つ挙げています。調理手段・冷暖房・家庭用医療機器の予備バッテリー・断水です(出典:内閣府の停電対策ページ)。電気工事士として並べ直すと、優先順位は次のとおりです。
- 命に関わるもの(在宅の医療機器)
- 通信(スマホの充電・ルーター)
- 冷蔵庫
- 照明
- 夏冬の空調
内閣府の世論調査(平成29年)では、停電時の照明を準備している世帯は約43%でした(同ページより)。半分以上の家には、明かりの備えすらありません。
冷蔵庫はドアを開けなければ2〜3時間もつ
関西電力の解説によると、十分に冷えた冷蔵庫はドアを開けなければ2〜3時間冷たさが保たれます(かんでんWITH YOU)。保冷剤や冷凍食品を一番上の棚に移すと、冷気が下に降りて長くもちます。長引く停電で冷蔵庫を動かすなら、ポータブル電源の出番です。
冷蔵庫を何時間動かせるかは、実測7件を集めて「ポータブル電源で冷蔵庫は停電中に何時間もつ?」にまとめました。
電気を確保する方法は3つ。電気工事士が違いを言う

ポータブル電源:工事なし。守れるのはつないだ家電だけ
買ってきて、コンセントに挿して充電するだけです。工事は要りません。守れるのは、本体につないだ家電だけです。家全体は動きません。持ち出せるので、キャンプや車でも使えます。
据置型の蓄電池:家全体を守れるが、工事費込みで平均9.2万円/kWh
分電盤につなぐので、家全体の電気を守れます。そのかわり工事が要ります。経済産業省の検討会資料では、工事費込みで平均9.2万円/kWhでした(出典:経済産業省の検討会資料)。対象は補助金を受けた家庭用蓄電システムです。5〜10kWhなら46万〜92万円です。
発電機:屋内では絶対に使わない
発電機について、資源エネルギー庁は「屋内ではぜったいに使わないでください」と書いています(出典ページ)。排気に一酸化炭素が多く含まれるからです。屋外でも、排気が家に入る置き方はできません。燃料の保管も要ります。電気工事士としては、家庭の停電対策で発電機を最初の候補にはしません。
ポータブル電源が必要な家・いらない家は、3つの分かれ目で決まる

売る側の記事は全部「必要」と書きます。持っている側から言うと、家によって答えが変わります。分かれ目は3つです。
- 電気が止まると、命や仕事に関わるものがあるか
- 停電が長引く地域か
- 停電以外に使う場面があるか
1か2に当てはまるなら必要な家です。3だけなら、元が取れる使い道があるかで決めます。わが家は3だけに当てはまる家です。
キャンプで電気毛布につなぐと何時間もつかは、「電気毛布のキャンプ用ポータブル電源は500Whで足りる」に書きました。
被災した人は「無くても困りません」と答えている
東日本大震災で4日間停電した宮城県の人は、知恵袋で「優先度はかなり低い」と答えていました(2024年の投稿)。理由は、基地局が止まればスマホを充電しても使えないことと、1000Whほどの容量では1日で空になることです。OKWAVEでは、1週間停電した人がポータブル発電機は要らないと答えています(OKWAVE・2024年の投稿)。被災者の声と私の実感の突き合わせは「ポータブル電源は防災に必要か」にまとめました。
ポータブル電源を選ぶときは、容量より先に「定格出力」を見る

容量(Wh)はどれだけ長く使えるか。定格出力(W)はそもそも動かせるかです。出力が足りない家電は、容量が余っていても動きません。
Jackeryの「1500」は出力ではなく容量。私も取り違えた
私が使っているJackeryの「1500」は、出力ではなく容量(1534Wh)を指しています。定格出力は1800Wです。電気を仕事にしている人間でも、製品名の数字を出力だと思い込みます。買う前に両方を確認してください。
停電対策で買うなら、UPS機能とパススルー充電を見る
UPS機能は、停電した瞬間に自動で切り替わる機能です。冷蔵庫やルーターを止めたくないなら、有無で価値が変わります。パススルー充電は、充電しながら給電できる機能です。普段からコンセントにつないでおけます。
UPSのないパススルーだけの機種では、停電すると電気が途切れるおそれがあります(Jackery公式のよくある質問)。わが家の1500はパススルーに対応しています。ただし、停電時に自動で切り替わるUPS機能もEPS機能もありません(Jackery公式ヘルプ・1500)。
つなぎっぱなしでいいかは「ポータブル電源のパススルーとは」にまとめました。
機種はJackeryかEcoFlowの2社で十分
候補は2社に絞れば足ります。国内で情報が多いのはJackeryとEcoFlowです。公式スペックを同じ条件で並べると、容量も出力もほぼ同じでした。2社のどちらにするかは、次の記事で公式スペックを並べて結論を出しました。
→ JackeryとEcoFlowどっち?公式スペックで出した結論
新築・引っ越しなら、置き場所とコンセントも先に決める
ポータブル電源は、どこに置くかで役に立ち方が変わります。UPS機能を活かすなら、冷蔵庫やルーターのそばに置いて、普段からつないでおきます。置き場所のそばに、コンセントが1口要ります。
わが家の1500はUPSのない機種なので、停電したら家電を手でつなぐしかありません。コンセントの位置と数は、新築の配線を自分で設計したときに先に決めました。考え方は「新築コンセントで後悔しないための位置と数」に書きました。
電気工事士が伝えたい、停電したときの3つの注意

避難するときはブレーカーを切る。通電火災を防ぐため
停電の直前まで使っていた電化製品は、復旧したときに急に電気が流れます。倒れたり傷んだりした機器が発熱して火が出るのが、通電火災です。資源エネルギー庁は、避難で家を離れるときは必ずブレーカーを切るよう書いています。
自宅だけ停電なら、ブレーカーを順番に入れ直す
近所は点いているのに自宅だけ消えているなら、ブレーカーを確認します。入れ直す前に、電化製品や電熱器具の上に燃えやすいものがかぶさっていないか、コードが傷んでいないかを確かめます。そのうえで全部を「切」にし、アンペアブレーカー・漏電遮断器の順に入れます。最後に安全ブレーカーを1つずつ入れます。漏電遮断器がまた落ちるなら漏電の疑いがあります。ブレーカーを切って、電気工事店に連絡してください(出典:資源エネルギー庁)。
発電機は屋内で使わない。壊れた太陽光パネルにも近づかない
発電機の排気は一酸化炭素を多く含みます。屋内で使うと中毒の危険があります。壊れた太陽光パネルは、光が当たっている間は発電を続けています。感電を防ぐため、むやみに近づかないでください。
電気以外の備えは、公的な一覧で足りる
本記事は電気に絞っています。水・食料・トイレ・ラジオの一覧は、電力会社や自治体がすでに詳しく書いています。内閣府のページと東京電力パワーグリッドの「家庭でできる備え」を1つずつ読めば足ります。
停電対策の電気でよくある質問
停電したとき電気の代わりになるのは、ポータブル電源かモバイルバッテリー
スマホの充電だけならモバイルバッテリーで足ります。冷蔵庫・照明・電気毛布まで動かしたいなら、ポータブル電源が要ります。家全体を動かすなら据置型の蓄電池です。
発電機より蓄電池のほうが家庭向き。屋内で使えるから
発電機は屋内で使えず、燃料の保管も要ります。家の中で使うなら、ポータブル電源か据置型の蓄電池です。
冷蔵庫はドアを開けなければ2〜3時間もつ
関西電力の解説では、十分に冷えた状態なら2〜3時間です。保冷剤や冷凍食品を一番上の棚に移すと、冷気が下に降りて長くもちます。
停電のとき電気が自動で切り替わるのは、UPSかEPSの機能つきだけ
普通のポータブル電源は、停電したら手でつなぎ直します。停電した瞬間に切り替えたいなら、UPSかEPSの機能がある機種を選びます。
まとめ:停電対策は電気から。3つの電源と3つの分かれ目
- 電気を確保する方法は3つ。ポータブル電源・据置型の蓄電池・発電機。発電機は屋内で使えない
- 必要かは3つの分かれ目で決まる。命や仕事・停電が長引く地域・停電以外の使い道
- 選ぶときは容量より先に定格出力。UPS機能とパススルー充電を見る
わが家は据置型を見送り、Jackeryの1500だけで備えています。1500はUPSのない機種なので、停電したら家電を手でつなぐしかありません。停電で使ったことは、まだありません。
詳しく知りたい順に、次の記事へ進んでください。
- 必要かどうか迷っている → 「ポータブル電源は防災に必要か」
- 据置型の蓄電池と比べたい → 「ポータブル電源は家庭用蓄電池の代わりになる?」
- 機種を決めたい → 「JackeryとEcoFlowどっち?」
- Jackeryに決めかけていて、評判が気になる → 「Jackeryの評判|壊れやすい・危険は本当か」


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