「ポータブル電源をコンセントにつないだまま使っていいのか」。「充電しながら使うと電池が傷むと聞いた」。「停電した瞬間に電気が切れないか心配」。当てはまるものはありませんか。
結論から言うと、パススルー対応の機種ならつなぎっぱなしで使えます。パススルーとは、充電しながら家電に電気を出す機能です。電池への負担の考え方は、メーカーや機種で違います。停電の瞬間に電池へ自動で切り替わるのは、UPSかEPSという機能がある機種だけです。
私は第二種電気工事士で、新築のわが家の電気配線は全部自分でやりました。わが家のJackery 1500は、普段コンセントにつないで常時充電しています。Jackeryには新しい「1500 New」もあるので、本記事では私の機種を「旧型1500」と呼びます。
読み終えると、自分の機種をつなぎっぱなしにしていいかが決まります。電池を長持ちさせる置き方と、コンセントまわりの火事を防ぐ使い方、買い替えるときに見る3つの項目も分かります。
結論:パススルーは充電しながら家電に電気を出す機能。対応機ならつなぎっぱなしで使える
パススルーに対応した機種なら、コンセントにつないだまま家電を使えます。ただし電池への負担の考え方は、メーカーや機種で違います。
パススルーは、充電しながら同じ本体から家電へ電気を出す機能
パススルーは、本体を充電しながら、同じ本体から家電へ電気を出す機能です。Jackery公式も、充電しながら同時に機器へ電力を送る機能と説明しています(Jackery公式・製品知識)。

家電が入力より多く使うと、足りない分は電池から出る
家電が使う電気が入力(本体に入ってくる電気)より多いと、足りない分は電池から出ます。少なければ、余った分が充電に回ります(Jackery公式ブログ・ソーラー)。同じ記事のソーラーパネルの例では、発電100Wで家電が200Wのとき、不足の100Wが電池から出ています。
電池から補う状態が続くと、残量は減っていきます。残量が0になれば給電も止まります(同じ記事)。つなぎっぱなしだから満タンのまま、とは限りません。
満充電のまま使い続けるのは、Jackeryも勧めていない
Jackery公式ブログは、パススルーで常に100%のまま使い続けるのを勧めていません。原文は「一般的にあまり推奨されません」です(Jackery公式ブログ・充電しっぱなし)。満充電を長く続けること自体が、電池の小さな負担になりうるためです。
一方で同じ記事は、充電しっぱなし自体は基本的に大きな問題はないとも書いています。満充電になると、電池の管理装置が充電を止めるか、ごく弱い電流に切り替えるからです。
災害用に満充電で置くなら、3か月に一度は状態を見る
非常用なら、100%で置いて3か月に一度は状態を見る方法もあります。Yahoo!知恵袋の回答で、足りなければ追加充電するとしています(Yahoo!知恵袋)。寿命が来ても容量が70〜80%に減るだけで、急に使えなくなるわけではないという回答もあります。長持ちさせたいのか、停電の日に満タンでいてほしいのか。目的で置き方を選びます。
メーカーの見解は割れている。寿命に影響なしと書くのは一部の機種
パススルーと寿命の関係は、メーカーごとに言い方が違います。公式の説明を並べると次のとおりです。
- Jackery:常に続けると一般には寿命が縮む可能性がある。Pro・Plus・Newシリーズは劣化しない設計(Jackery公式ブログ・パススルー)
- EcoFlow:多用すると寿命を縮めるおそれがある。発熱も大きくなる(EcoFlow公式ブログ)
- Anker:電池に電気を入れながら出すので、一般には劣化を早めるおそれ。Ankerの多くの機種は負担を小さくする設計(Anker公式マガジン)
- JVC:一般的なパススルーは可能だが推奨しない(JVC公式)
4社とも、一般的なパススルーを続けると電池に負担がかかりうる、と書いています。自分の機種で「寿命に影響なし」と書かれているかは、機種ごとの公式ヘルプや仕様表で確かめます。
つなぎっぱなしでいいかは、機種の作りと使う目的で決まる
同じJackeryの1500でも、旧型と1500 Newでは作りが違います。旧型と1500 Newのうち、公式ヘルプが「寿命に影響がございません」と書いているのは1500 Newです。
旧型1500などの無印モデルは、入った電気を直流にしてから出力と電池へ送る
240・1000・1500など、名前にProやNewが付かない機種を、Jackeryは「無印モデル」と呼んでいます。無印モデルは、入った電気を本体の中で直流に変えてから、各出力口と電池へ送ります(Jackery公式・製品知識)。家電が入力を上回れば、電池からも電気を補います。
旧型1500の入力は、最大300Wです(Jackery公式ヘルプ・1500)。家電が実際の入力を上回れば、足りない分は電池から出ます。旧型1500のヘルプは、パススルーに「はい、対応できます」と答えています。寿命への影響には触れていません。
1500 Newは、充電しながら使っても寿命に影響しないと公式が書いている
1500 Newのヘルプは、充電しながら使っても寿命に影響しないと書いています。原文は「充電しながら利用してもポータブル電源の寿命に影響がございません」です(1500 Newのヘルプ)。メーカー自身の説明です。
New・Pro・Plusなどの新シリーズは、入った電気をまず家電に回します。余った分だけを充電に使うので、電池の消耗が減るとしています(Jackery公式・製品知識)。1500 Newの電池は「リン酸鉄」という種類で、満充電の負担に強いとされます(充電しっぱなしの記事)。充電と放電を6,000回くり返しても、容量の70%を保つとされています。
私の旧型1500は常時充電。上限は設定できない
わが家の旧型1500は、普段コンセントにつないで常時充電しています。アプリに対応していないので、充電の上限は下げられません(Jackery公式ヘルプ・1500)。電池は以前主流だった「三元系」で、充電と放電をくり返せる回数(サイクル)の目安は800回です。
Jackery公式ブログは、三元系は満充電の電圧の負担に比較的弱いと書いています(同じ記事)。わが家の常時充電は、公式ブログが勧める「満充電を長く続けない」置き方とは違う使い方です。数か月使わないときの残量は、60〜80%程度が目安とされています。
つなぎっぱなしにするかは、公式の記述と上限設定と目的で決める
つなぎっぱなしにするかは、機種の公式の説明と機能で次の3つに分けて決めます。
- 公式が「寿命に影響なし」と書く機種は、つなぎっぱなしで使う
- 充電の上限を下げられる機種は、80%などに下げてつなぐ
- どちらでもない機種は、停電に備えた満タンか長持ちかで決める
つなぎっぱなし向きの機種かは、仕様表の3か所で確かめる
つなぎっぱなし向きかは、メーカーの仕様表かヘルプで確かめられます。Jackeryなら、機種ごとの公式ヘルプに載っています。見るのは「パススルー」「UPS・EPS」「充電上限」の3か所です。
「パススルー」の欄で、対応とパススルー時の上限を見る
Jackeryのヘルプには、パススルー充電の対応と「パススルー時のAC出力上限値」が載っています。旧型1500は1,800W、1500 Newは1,500Wです(Jackery公式ヘルプ・1500/1500 New)。つなぐ家電の合計が、この上限を超えないか確かめます。
1500 Newの定格出力(続けて出せる電気の上限)は2,000Wです。パススルー中は、家庭のコンセントに合わせて1,500Wに下がります(Jackery公式ヘルプ・UPSの注意点)。旧型1500は入力が最大300Wなので、上限の1,800Wに近づくほど電池から出る電気が増えます。
「UPS」「EPS」は呼び方より、切り替えにかかる時間を見る
UPSとEPSは、どちらも停電すると電池からの給電へ自動で切り替える機能です。UPSは「無停電電源装置」、EPSは「非常用電源」を指します。呼び方は、同じメーカーの中でも機種で揺れます。
Jackery 1000 Plusは、0.02秒の切り替えを「EPS機能」と書いています(1000 Plusのヘルプ)。1000 Newは、同じ0.02秒を「UPS機能」としています(1000 Newのヘルプ)。名前ではなく、切り替えにかかる時間を見ます。0.02秒は20ミリ秒です。
「充電上限」の設定とアプリの有無を見る
つなぎっぱなしで使うなら、充電の上限を下げられる機種が有利です。1500 Newは、アプリで上限を80%などに決められます(Jackery公式ヘルプ・1500 New)。Jackery公式ブログによると、一部の機種は85%程度に抑えたままパススルーを続けられます(充電しっぱなしの記事)。旧型1500のようにアプリ非対応の機種は、上限を変えられません。
パススルーとUPSは別物。停電したときに自動で切り替わるかが違う
パススルーだけの機種は、停電すると電気がいったん途切れます。Jackery公式ブログも、パススルー機能とUPS機能は別物だと書いています(Jackery公式ブログ・UPSとの違い)。

UPSでも0.01〜0.02秒の切り替えはある。一瞬も止まれない機器はつながない
1500 NewのUPSは、停電から0.01秒(10ミリ秒)以内に電池へ切り替わります(1500 Newのヘルプ)。ただし0ミリ秒の無瞬断ではありません。データサーバーなど、一瞬も止まれない機器にはつながないよう注意書きがあります(同じヘルプ)。
Jackery公式ブログは、PCを守れるかの分かれ目を10ミリ秒以内かどうかとしています(UPSとの違いの記事)。一般的なポータブル電源の切り替えは、20〜30ミリ秒以上が多いとされています。デスクトップPCは内蔵電池がないので、切り替えの瞬間に電源が落ちることがあります。
一瞬も途切れないのは、切り替え0ミリ秒をうたう機器です。パソコン用のUPSには、常にバッテリーを通して給電する0ミリ秒の方式があります(同じ記事)。Jackeryの5000 Plusにも、0ミリ秒の「オンラインUPS」モードがあります(5000 Plusのヘルプ)。
冷蔵庫やノートPCなら、切り替えの時間差は問題になりにくい
冷蔵庫やテレビなどの一般家電は、0.02秒程度の時間差なら通常止まりません(Jackery公式ブログ)。ノートPCは内蔵電池が瞬断を防ぐので、UPSは要らないとされています(Jackery公式ブログ・パソコン)。
旧型1500にはUPSもEPSもない。停電したら家電を本体に差し替えるしかない
旧型1500のヘルプでは、EPS機能もUPS機能も「なし」です(Jackery公式ヘルプ・1500)。わが家の旧型1500は、停電したら家電のプラグを本体に差し替える必要がある機種です。停電ではまだ使っていません。冷蔵庫を停電中に何時間動かせるかは「ポータブル電源で冷蔵庫は停電中に何時間もつ?」にまとめました。
電気工事士が見るつなぎっぱなしの注意点は、コンセント・熱・待機電力の3つ
つなぎっぱなしでは、本体の電池だけでなく、コンセント側にも気をつけます。つないでいる間は、コンセントとコードに電気が通っているからです。コンセントや延長コードなど配線器具の火災事故は、5年間で126件です(NITE・2019〜2023年)。

壁のコンセントは、2口合わせて1,500Wまで
家庭の壁のコンセントは、2口の合計で1,500Wまでです。片方に1,000W分をつなぐと、もう片方には500Wまでしかつなげません(NITE・同じ資料)。同じブレーカーにつながるコンセント全体でも、一般的に2,000Wまでです(パナソニック)。
1500 Newの急速充電は最大1,450W前後。同じコンセントで他の家電を使わない
1500 Newが充電に使う電気は、最大1,450W±50Wです(Jackery公式ヘルプ・1500 New)。急速充電中は、壁のコンセント2口ぶんの上限1,500Wをほぼ使い切ります。同じコンセントのもう片方で電子レンジやドライヤーを使うと、上限を超えます。
自分で配線した経験から言うと、配線した後にコンセントの場所を変えるのは大変な手間です。新築なら、ポータブル電源を置く場所のコンセントを先に決めておけます。コンセントの位置と数の考え方は「新築コンセントで後悔しないための位置と数」に書きました。
テーブルタップやコードリールをはさまない。束ねたまま使わない
急速充電などで大きな電気を使う機種は、壁のコンセントに直接つなぎます。電気をたくさん使う製品は、テーブルタップを使わず壁から直接とるのが望ましいとされています(経済産業省の教材)。NITEの再現実験では、上限を超えたテーブルタップから火花が出て発火しました(NITE)。
コードを束ねたまま使うと、熱が逃げにくくなります(日本電機工業会)。コードリールは、巻いたままのときの上限が別に決まっています(NITE)。巻いたままの上限を超えて使い、建物が半焼した事故もあります(NITE・PSマガジン)。
差しっぱなしのプラグは、ほこりを定期的に掃除する
コンセントに差したプラグの刃の間にほこりがたまって湿気を吸うと、火花が出て火事になることがあります。トラッキング現象と呼ばれ、東京消防庁は定期的な掃除を勧めています(東京消防庁)。Jackery公式ブログも、差しっぱなしのプラグのトラッキングに注意を促しています。
本体は熱を持つ。直射日光と暑い場所を避ける
Jackery公式ブログによると、パススルー中は発熱が大きくなりやすいです(ソーラーの記事)。直射日光の下での使用は避けるよう書かれています。旧型1500は、内部が45℃に達すると冷却ファンが回ります(Jackery公式ヘルプ・1500)。ファンが回るのは、仕様どおりの動きです。
夏の車内のような暑い場所での充電も、劣化を早めるおそれがあります(Jackery公式ブログ・充電しっぱなし)。
待機電力の目安は、仕様表の「待機ワット数」でつかむ
旧型1500の待機ワット数は10〜15W、1500 Newは22Wです(Jackery公式ヘルプ)。どんな状態で測った値かは書かれていません。仮に24時間ずっとかかると、旧型1500は1年で87.6〜131.4kWhです。kWhは電気代の計算に使う単位です。
電気代の目安単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会)で計算すると、年約2,700〜4,100円です。1500 Newの22Wなら、年192.7kWhで約6,000円です。Jackery公式ブログも、満充電の後もつないだままだと、本体やACアダプターがわずかな電力を使い続けると書いています。
パススルー前提で選ぶなら、見るのは寿命の記述・充電上限・切り替え時間の3つ
つなぎっぱなしで使う前提なら、見る項目は3つです。
- 公式が寿命への影響をどう書いているか
- 充電の上限を下げられるか
- 停電から何秒で切り替わるか

旧型1500と1500 Newを公式の仕様で並べると、3つの項目で差が出ます。旧型1500には、寿命への影響の記述・上限設定・UPSのどれもありません。1500 Newは寿命に影響なしと書かれ、上限をアプリで決められ、UPSで0.01秒以内に切り替わります。
1500 Newは使ったことがないので、使い勝手は書けません。待機電力は22Wで、旧型の10〜15Wより大きい点も比べて選んでください。
1500 Newを含むJackeryの評判は、次の記事にまとめました。
→ Jackeryの評判|壊れやすい・危険は本当か、旧型1500ユーザーが答える
ポータブル電源のパススルーでよくある質問
パススルー中は、家電が使う分だけ充電が遅くなる
パススルー中は、入ってきた電気の一部を家電が使います。そのぶん充電に回る電気が減り、満充電まで時間がかかります。早く満充電にしたいときは、家電を外してから充電します。
ソーラーパネルをつないだままでも、電池への負担の考え方は同じ
JVC公式は、ソーラーパネルで充電しながらの給電も電池に負担をかけると書いています(JVC公式)。パネルと一緒に本体まで日なたに出すと熱を持つので、本体は直射日光を避けて置きます(Jackery公式ブログ・ソーラー)。
リン酸鉄は満充電に強いが、管理したほうが長持ちする
Jackery公式ブログは、リン酸鉄の電池は熱に安定し、満充電での負担にも強いとしています(充電しっぱなしの記事)。どんな電池も、満充電を何年も続けるより管理したほうが長持ちするとも書いています。EcoFlow公式ブログが挙げる管理の例は、満充電のまま充電を続けないことです。
停電対策に使うなら、パススルーとは別に自動切り替えの機能が要る
EcoFlow公式ブログは、停電対策に使うなら電源の自動切り替え機能は必須だとしています(EcoFlow公式ブログ)。停電対策の全体像は「停電対策は電気から決める」に書きました。
まとめ:対応機ならつなぎっぱなしでOK。選ぶなら寿命の記述・充電上限・切り替え時間

- パススルーは充電しながら家電に電気を出す機能で、対応機ならつなぎっぱなしで使える
- 家電が入力より多く使うと、足りない分は電池から出る
- 満充電のまま使い続けるのは、Jackeryも勧めていない
- 寿命に影響なしと公式が書くかは機種しだいで、旧型1500には記述がない
- パススルーとUPSは別物で、停電時の切り替えは時間の数字で見る
- 壁のコンセントは2口合わせて1,500Wまでなので、タップをはさまずほこりを掃除する
わが家の旧型1500は、上限を下げられずUPSもない機種です。つなぎっぱなし前提で選ぶなら、寿命の記述・充電上限・切り替え時間の3つを確かめてください。
本記事で比べた2機種のうち、3つがそろうのは1500 Newです。つないだままでも寿命に影響しないと公式が書き、停電の瞬間は0.01秒以内に電池へ切り替わります。1500 Newの口コミと今日の価格は、次の記事で確かめられます。

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