ポータブル電源は家庭用蓄電池の代わりになる?新築で比較した結論

ポータブル電源は蓄電池の代わりになるか。冷蔵庫は動く 停電・防災
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新築の停電対策を調べていくと、必ず「家庭用蓄電池」にたどり着きます。そして値段を見て、いったん心が折れます。

代わりに出てくるのが「ポータブル電源を蓄電池の代わりに使えないか?」という発想です。工事もいらないし、値段は桁が違います。

私は電気工事士の資格を持っていて、新築のわが家の電気配線を自分で設計しました。さらに、ポータブル電源を実際に使っています。両方をふまえて、新築の停電対策として本気で比較検討しました。

先に結論を言うと、わが家は据置型の蓄電池は入れず、Jackeryのポータブル電源で停電に備えています。本記事は「買ってよかった」という感想ではありません。据置型とポータブル電源のどちらを選ぶか、自分で判断できるようになるための記録です。冷蔵庫は動くのか、いくらかかるのか、そして「どういう人なら買う価値があるのか」までまとめました。

結論:家全体の蓄電池にはならない。でも「止まると困るもの」は守れる

ポータブル電源で家中の電気をまかなうのは無理です。ただ、冷蔵庫・スマホ・照明・Wi-Fiルーターなど「止まると本当に困るもの」だけなら十分に守れます。

つまり選択肢は「家全体を止めないようにするか(据置型の蓄電池)」か、「困るものだけ守るか(ポータブル電源)」の二択です。まずは値段の差を見てください。

据置型の蓄電池は46万〜92万円(公的データで確認)

値段は販売店のサイトではなく、経済産業省の資料で確認しました。国の「定置用蓄電システム普及拡大検討会」の資料に価格が出ています。補助金の対象になった家庭用蓄電システムは、工事費込みで平均9.2万円/kWhでした。うち電池部分が7.1万円/kWhです。国は2030年度までに工事費込み7万円/kWh以下にする目標を掲げています。

家庭でよくある容量は5〜10kWhくらいです。単純計算するとおよそ46万〜92万円になります。9.2万円×5kWhで46万円、9.2万円×10kWhで92万円です。販売サイトでは「総額150万〜250万円」という数字も見かけます。容量が大きい場合や条件が違うことが多いようです。なお経産省の数字は補助金対象の案件なので、実際の見積もりはもっと高く出る可能性があります。

比較 家庭用蓄電池(据置型) ポータブル電源
費用 工事費込み約9.2万円/kWh(5〜10kWhで46万〜92万円) 数万円〜(1,000Whクラスで約11万〜12万円。Jackery公式ストア・2026年9月)
工事 必要(設置場所・配線) 不要。買ってすぐ使える
守れる範囲 家全体(分電盤につながる) つないだ家電だけ
持ち出し 基本できない できる(キャンプ・車中泊にも)

一番大事なのは容量(Wh)より先に「定格出力(W)」

ポータブル電源のWとWhの違い。Wは家電を動かせるか、Whはどれだけ長く使えるか
Wは「動かせるか」、Whは「どれだけ長く使えるか」。取り違えると買っても動かない

ポータブル電源選びで最初につまずくのが、次の2つの単位です。

Whは「どれだけ長く使えるか」、Wは「そもそも動かせるか」

  • Wh(ワットアワー)=容量。どれだけ長く使えるか
  • W(ワット)=定格出力。家電を動かせるかどうか

動かしたい家電の消費電力が、ポータブル電源の定格出力を超えているとそもそも動きません。容量だけ見て買うと「大きいのを買ったのに動かない」が起きます。起動する瞬間だけ大きな電力を使う家電もあるので、瞬間最大出力も見ておくと安心です。

私も取り違えていた:Jackery「1500」の1500は容量だった

じつは私自身、容量と出力を取り違えていました。私が使っているのはJackeryの「1500」というモデルです。製品名の1500は出力(W)ではなく容量(1534Wh)を指しています。定格出力は1800Wです。電気を仕事にしている人間でも、製品名の数字はつい出力だと思い込みます。買う前に、両方を「JackeryとEcoFlowどっち?公式スペックで出した結論」の表で確認してください。

ポータブル電源で冷蔵庫は動く。1000Whで半日が目安

結論から言うと動きます。冷蔵庫はずっと全力で動いているわけではないので、見た目の消費電力ほどは電気を食いません。

容量の目安はこう考えると分かりやすいです。

  • 10〜15時間なら1000Whクラス
  • 15〜24時間なら2000Whクラス

時間は、冷蔵庫を実際に動かした実測7件から出しています。詳しくは「ポータブル電源で冷蔵庫は停電中に何時間もつ?」にまとめました。

一方でエアコンは条件が厳しいです。たとえばエアコン800Wと冷蔵庫150Wを同時に動かすなら、定格出力950W以上が必要という考え方になります。電子レンジやドライヤーは、手元の家電のラベルで消費電力を見て、定格出力を超えないか確認してください。「停電中もいつも通りの生活」は、ポータブル電源では簡単ではありません。

実際に使って分かった、良かった点と不満な点

次は実際に使ってみた感想です。パソコン・モニター・スマホの充電に使っていました。

良かった点:どこでも使えて、ACとDCの両方が出せる

  • どこへでも持ち運べる。コンセントの位置に縛られずに使えます
  • ACとDCの両方が出せる。パソコンもUSB機器も1台で足ります
  • ライトが付いている。地味ですが、停電時にはライトだけでも役に立つはずです

不満な点:とにかく重い

  • 結構重い。私が使っている1500クラスは16kg前後あります。「ポータブル」という名前ですが、片手でひょいと持ち運ぶ重さではありません

容量が大きいほど重くなります。大きければ大きいほど良い、とは限りません。誰がどこまで運ぶのかを考えて選んでください。

停電対策として買うなら見るべき2つの機能

  • UPS機能:停電した瞬間に自動で切り替わる機能。冷蔵庫やルーターを止めたくないなら、UPS機能の有無で価値が変わります
  • パススルー充電:充電しながら給電できる機能。普段からコンセントにつなぎっぱなしにしておけます。ただしパススルーだけでは、停電の瞬間に自動で切り替わるとは限りません。つなぎっぱなしでいいかは「ポータブル電源のパススルーとは」にまとめました

私の1500(型番PTB152)はパススルー充電に対応しています。ただし停電時に自動で切り替わるUPS機能とEPS機能はありません(Jackery公式ヘルプ・1500)。停電ではまだ使っていません。停電したら、家電を手でつなぐしかない機種です。

新築なら、どこに置くか=どのコンセントにつなぐかまで決めておくと生きてきます。コンセントの位置と数の考え方は別記事にまとめました。

→ 新築コンセントで後悔しないための位置と数|配線設計した施主の実例

それでもわが家が「据置型の蓄電池は買わない」と判断した理由

わが家が入れなかったのは、46万円からの据置型蓄電池のほうです。理由は単純で、停電のリスクが低い地域に住んでいるからです。山の中でもなく、長時間の停電が頻発する土地でもありません。リスクが低いのに、先回りして数十万円の設備を入れる必要はないと判断しました。

同じ理由で、太陽光パネルも載せませんでした。総合的に見てリスクが高く、わが家の条件では元が取れないと判断したからです。太陽光は屋根の向き・地域・契約価格で結論が変わるので「誰にとってもダメ」と言うつもりはありません。あくまでわが家の判断です。

据置型の蓄電池は、停電対策“だけ”を目的にすると元は取りにくい。これが比較検討した私の結論でした。

ポータブル電源のほうも、防災に要るかどうかは家ごとに違います。分かれ目は「ポータブル電源は防災に必要か」に3つ書きました。

逆に「買う価値がある」と思ったのはこういう人

とはいえ、条件が変われば評価はまるごとひっくり返ります。

  • 停電が起きやすい地域に住んでいる/停電すると本当に困る事情がある人:小さな子どもがいる、家族だけで過ごす時間が長い。こうしたケースです
  • 停電以外でも使う人:一番向いています。私自身が該当します。キャンプに持ち出して、照明とスマホの充電、電気毛布に使いました。キャンプや子どもの行事など、外で何かをするときにも使えます

停電対策だけで元を取ろうとすると割に合わない。でも普段から外で使う予定があるなら、価値は一気に跳ね上がります。「防災用に眠らせておく道具」ではなく「普段使う道具が、いざというときにも役立つ」。そう考えられる人にとっては、かなり良い買い物だと思います。

実際に選ぶとなると、候補は2社です。国内で情報が多いのはJackery(ジャクリ)のポータブル電源とEcoFlow(エコフロー)です。私が使っているのは前者のJackeryです。どちらも容量・定格出力の幅が広いので、いきなり機種から選ぶと迷います。まず「動かしたい家電の消費電力」と「どれくらいもたせたいか」を決めてください。そのうえで公式サイトの仕様表を見比べるのが、失敗しない順番です。2社の比較は「JackeryとEcoFlowどっち?公式スペックで出した結論」にまとめました。

まとめ:買う前に自分に聞く2つの質問

  1. うちは停電が多い土地か?(少ないなら、急いで買わなくていい)
  2. 停電以外でも使うか?(キャンプ・子どもの行事・屋外作業があるなら、買う価値は大きい)

わが家は1つ目がNoでした。それでもポータブル電源を選んだのは、2つ目がYesだからです。キャンプでは照明とスマホの充電、そして電気毛布に使いました。防災用に眠らせるのではなく、普段使う道具が停電のときにも役立つ。これがわが家の答えです。数十万円の据置型蓄電池のほうは見送っています。

停電対策の全体像(3つの電源と3つの分かれ目)は、「停電対策は電気から決める」に1ページでまとめました。

キャンプで電気毛布につなぐと何時間もつかは、「電気毛布のキャンプ用ポータブル電源は500Whで足りる」に書きました。

据置型の数十万円をかけなくても、止まると困るものはポータブル電源1台で守れます。JackeryとEcoFlowのどちらを買うかは、公式スペックを同じ条件で並べた次の記事で決められます。

→ JackeryとEcoFlowどっち?公式スペックで出した結論

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